俳句の作り方     寒雀の俳句

     寒雀一羽となりて光り出す    高野ムツオたかのむつお

    かんすずめ いちわとなりて ひかりいだす

 

 

     寒雀が冬の季語。

    「雀はもっとも人家近くに棲む鳥である。

    とくに冬場は餌を求めて庭先までやってくる。

    寒いとき、羽の中に空気を入れて膨らんでいる姿をふくら雀という。」

     (俳句歳時記 冬 角川書店編)

     寒雀一羽となりて光り出す

 

 

     句意を申し上げます。

    寒雀が一羽となった。

    するとそれは光を放った。

 

 

     鑑賞してみましょう。

    作者の故郷の宮城県は東日本大震災で被害を受けました。

    高野ムツオの句集『萬の翅』には数多くの震災句が収められています。

    掲句は震災詠ではありませんが、震災句として鑑賞するのも面白いと思います。

    俳句の多義性により、寒雀の孤立や生き残りをイメージすることができるからです。

 

 

     一羽の寒雀が瓦礫の中からはい出しました。

    仲間は地震で死んでしまったのです。

    孤独な寒雀は輝いています。

    まるで、光を放っているようです。

    なぜなら生き残った寒雀は、私たちに希望と再生を与えてくれる存在だからです。

     寒雀一羽となりて光り出す

     俳句の作り方     寒雀の俳句” に対して1件のコメントがあります。

  1. 大谷元秀 より:

    素晴しい句ですねぇ。一読して引き込まれました。
    伊庭さんの御蔭で良い句に出逢えました。
    感謝です。

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